20 ずいぶん遅い時間に、雪美の携帯が鳴った。 「メリクリ!」というタイトルの付けられた愛香からのメールを開くと、そこには、片目をつぶってポーズを決めて微笑む架月の写メが付いていた。 (わぁ〜〜〜!! あいちゃん、わざわざ撮って来てくれたんだ!) 写メを見ながら感動していると、今度は電話がかかってきた。 それも、愛香からだ。 「雪美、写メ見てくれた?」 「うん!ありがとう!感激だよ〜! あいちゃん、本当にありがとう!」 「へへっ、私から雪美へのクリスマスプレゼントだよ。 それよりね、ビッグニュースがあるんだよ!」 「何かあったの?」 「多分ね…彼ら、メジャーにいくと思う。」 「えっ!?」 「なんかね、ファンの子達と打ち上げ行こうかって話になりかけてたらね、業界っぽい人が来てさ。 で、メンバー、全員連れていかれて…」 「あぁ〜〜っ!!そういえば、今日、後ろの方になんかそれっぽい人いたよ! ライブ中も腕組みして、じっと見てた!」 「…なんか、寂しいよねぇ… もう出待ちしても話とか出来なくなるかもね…」 「そっか〜…」 それから、沙騎の話を聞かされ、電話を切ったのはもう夜明け近くなった頃だった。 愛香との電話を切ると、雪美はすぐに眠りに落ちた。 目が覚めたら、もう2時をまわっていた。 幸い、今日は何の予定もない。 二度寝しようかと思ったが、空腹を感じて雪美はもそもそと起きあがった。 冷凍の鍋焼きうどんを作ってすすっていると、テレビではなんだかよくわからないドラマがやっていた。 見るとはなしに見ていると、小さな子供達が家族でクリスマスを祝うシーンがあった。 テーブルいっぱいにおいしそうなご馳走が並べられ、その中央には真っ白な生クリームに真っ赤ないちごで飾りたてられたクリスマスケーキが置いてあった。 「あああーーーーーっっ!」 クリスマスケーキを予約していたことをテレビのケーキでやっと思い出した雪美は、あわてて着替え外へ飛び出した。 今日は架月は家にいるはずだから、今日はすっぴんでも大丈夫だ。 あの場所に着いたのはもう夕方近くになってのことだった。 「これ、お願いします。」 引換券を渡してケーキを受け取った時だった。 「あ〜、やっと来た!」 (ま、まさか、その声は…?) 振り返ると、雪美の思った通り、そこにはサンタの格好をした架月がいた… [前へ][次へ] [戻る] |