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「なぁ〜んだ!は、ないだろ!
よく考えてごらんよ。
君、今までそんなことあった?
好きな人とたまたま曲がり角でぶつかるなんてこと、あった?」

「…そりゃあ、ないけど…」

「でしょ?
ああいうのはめったにないことなんだよ。
よくあるのは漫画と小説の中だけさ。
だから、それが、叶うなんてすごいことだよ!
ちょっとは感謝してくれなきゃ!」

「そ…そうよね!ありがとう!」

「……意外と素直なんだね。
とにかく、僕が必ず君と架月君をぶつけてあげるから、そこから先は君の頑張り次第だよ!」

「えっ?!頑張ればなんとかなる?!」

「なるかもしれないし、ならないかもしれない。
僕はキューピッドじゃないからそこまではわからないけど、きっかけを生かすも殺すもそれは君次第なんじゃない?」

「そうね!あんたの言う通りだわ!
イヴにはまだ1週間程あるし、希望はあるってことよね!!」

「そうそう!その通り!」

「ありがとう〜!!
本当にあんたには感謝してるわ!
みかん食べて!私がむいてあげるから!」

「いいよ、みかんは…」

「そんなこと言わないで!
冬はビタミンCを採った方が風邪ひかないのよ!
あんた、これからもいろんな人のお願い事叶えに行くんでしょう?」

「僕、妖精だから風邪なんてひかないし…」

「はいはい!!ごちゃごちゃ言ってないで食べなさいって!」

雪美は、せっせとみかんをむいてはトナカイの口に詰めこんだ。

「さぁ、こうしてはいられないわ!
頑張らなくっちゃ!」

気合いのこもった独り言を残して、雪美は部屋を出て行った。



(ふぅ〜…困った子だね…)

口いっぱいのみかんを飲みこんだトナカイは、壁をすり抜け遥か彼方の空へ戻っていく。



雪美のこの先のことを想像しながら…


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あきゅろす。
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