2 (いつもあの目に騙されるんだよなぁ…) 昨夜のいきさつを思い出しながら、エリオットは小さな溜息を吐いた。 ここまで来た以上、そんなことを後悔しても仕方がない。 エリオットは、いつものように適当に遺跡を探すふりをすることに決めた。 分かれ道の先は、どちらも高いブッシュに覆われており、フレイザーの姿はすでにそれらに隠され見えなくなっていた。 (あ〜あ、やだなぁ… 変な虫とかいなきゃ良いけど…) エリオットは、ブッシュをかきわけながらゆっくりと進んで行く。 (こんな所に遺跡なんてないってば。 それより、万一、強暴な魔物がいたらどうする気だよ。 町の人達はいてもたいした奴じゃないって言ってたけど、ほとんど入ったこともない山のことなんて本当にわかってんのかな?) エリオットは心の中でそんなことを愚痴りながら、道なき道を歩き続けた。 額から流れる汗を拭いながら、エリオットはどうにかやっと拓けた場所に辿り着いた。 (あぁ…疲れた…なんで、こんなことしなきゃならないんだよ…) ちょうど腰掛けるのに良い岩をみつけ、エリオットはそこに腰を降ろす。 そして、その時になって、エリオットはある事に気が付いた。 水筒をフレイザーに持たせていたということを。 そのことに気付いた途端、エリオットは喉の渇きがなおさらは増すのを感じた。 (あぁ、最悪……) エリオットは立ち上がり、水場を探して歩き始めた。 彼の足取りは重い。 しばらく進むと、どこからか水の流れる音がエリオットの耳に届いた。 (……こっちだ!) エリオットは、先程とは別人のような軽い足取りで音の方へ駆け出した。 (あ……) エリオットがみつけた水源は、遥か下方に流れる小川だった。 斜面は急で、とても降りられるような場所ではない。 どこか、下へ降りられる道をみつけなければ…エリオットがそう考え、身体の向きを変えた持、足元の土が崩れ落ち、短い悲鳴を残して彼の身体は斜面を転がり落ちた… [前へ][次へ] [戻る] |