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「あぁ、おいしかったわ。
ごちそうさん!」
「お口にあいましたか?」
「合うた、合うた、えら合いやわ。」
マールはショーンに向かってにっこりと微笑んだ。
「それは良かったです。
ところで、次はどちらへお連れすればよろしいですか?」
「そやなぁ…
あ、ショーンの家に行こか。」
「えっ?僕の家に…ですか?」
「そうや。
家でちょっと休もか。」
「は、はいっ!天使様がそうおっしゃるなら…」
*
「なかなか良い家やんか。」
ショーンの家は表通りから一筋奥に入った所にあるアパートの1室だった。
独身の割に、部屋の中は小綺麗に片付いている。
お茶の用意をしてくれたショーンに、マールの質問が矢継ぎ早に浴びせられた。
「なるほど…
ありがとうな。
お陰でこの世界のことがようわかったわ。
そしたら、俺、ちょっと休むから一人にしてくれるかな?」
「はい、では、僕は隣の部屋にいますから、何かありましたら、すぐにお呼び下さい。」
ショーンの出て行ったリビングで、マールはソファーに座ったまま、一人、話し始めた。
「…ここのことは今聞いたようなことやけど…」
『これといって特別変わった世界ではなさそうでな…』
「そうやなぁ…風景見てもクリシェやファンタパルヴィルとさほど変わらへんもんな。」
『おまえが私の言い付けを守らずに、うかつに手を出したからこんなことになったんだぞ!
帰れなくなったらどうするつもりだ?』
「そうなったらここに住むしかないわなぁ…」
『またそんなことを…!
少しは真面目に考えたらどうなんだ?!』
「わかってるて。
えーっっと…こういう時は、最初から順番に考えて…と…
あの時の俺は、壷の中の木の実を取り出そうとして壷に手を伸ばしたらここにいて…
…え…?!ってことは、もしかしたらここは壷の中なんか?」
『そんなわけがないだろう…
壷は、この前の鏡と同じようなもんだ。
つまりは異次元への扉のようなもんだな。』
「なるほどなぁ…
…ってことは、虹のもやもやを触ったから虹のある場所に出たってことなんか?」
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