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「あたたたた…」

マールは無意識に今打ちつけたばかりのお尻をさすった。



「あ…あれっ?
ここ、どこや…?!」

『マール…だから言っただろう…?』

「え……?ここって…どこなん?」

『どこかはわからんが…
また異世界に飛ばされたことは、間違いなさそうだな…』

「えーーーーっっ!
またクリシェに戻ったんか?」

『そうではなさそうだな…』

「うわぁ…綺麗な虹や…」

マールは、頭上にかかる大きな虹の橋を見上げ、目を細めた。



『そんな呑気なことを言ってる場合じゃないだろう…』



「あ…あの…」



不意にかけられた声に、マールは驚き振り向いた。





「わぁ、びっくりした…!」

そこに立っていたのは、マールよりやや若いかと思われる青年だった。



「あ…あなた、一体どこから?
ま、ま、まさか、伝説の虹の神様…!?」

「は…?」

「だ…だって、僕が虹に向かって愚痴をこぼしてたら、突然、あなたが天から現れて…」

「いややな、神様やなんて…
俺は…」

『そう…私は神ではないが神の使いだ。』



(こ、こらっ!ノーマン、何ゆーてんねん!)

(ここは私に任せておけ!)

(お、おいっ!)



「えっ!?ほ、ほ、本当に!」

マールの言語中枢を支配したノーマンはマールの代わりに青年に答える。

「嘘ではない。
神から落ちこんでいるおまえを勇気づけるように言い付かった。
詳しいことをもう一度話してみよ。」

「あぁ…信じられない!
でも、あなた様が天からお出ましになる所を僕はこの目で見ました。
神のお使いってことは……わかった!
あなたは天使様なのですね!!」

「私のことはどうでも良い。
それよりもおまえ自身の話をするが良い。」

「あ…はいっ!!」

男は名をショーンといい、つい最近、つきあっていた女性にふられたということを涙声で話した。
彼の心の傷はかなり深いようだ。



「なんだ、そんなことか…」

「そ、そんなこととはあんまりです!
僕は、全身全霊をこめて彼女のことを…」

「それでもうまくいかなかったのは、なぜかわかるか?
それはな、彼女がおまえの運命の人ではなかったからだ。」

「え…?!
そ、それでは、今後、僕は本当の運命の人に出会えるということですか?」

「あぁ、そうだとも。
ふられた彼女よりずっと美しく魅力的な女性だ。
私にここを案内しもてなしてくれたら、その運命の人にすぐにでも出会わせてやろう。」

「ほ、本当ですか!
そんな素敵な女性が、僕の運命の人…夢みたいだ!」

ショーンは、今までの落ち込みようが嘘のように顔を輝かせた。



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