。+短編小説+゚ 旅路の果て〜リザ視点 「鋼の錬金術師最後の錬成にな!」 そうエドワード君が言い残し真理の扉へ行った所で、私の意識は途切れた。 目が覚めた時には、セントラル市内の病院に搬送されていた。 「リザ!」 「レベッカ!」 応急処置を受けながら現状を聞いた。 マスタングさんは今どうしてるんだろう… 手術が終わって目が覚めると、二人部屋の病室にいた。隣のベッドにいたのは・・・ 「マスタングさん?」 「リザ…意識が戻ったのか」 「マスタングさんは大丈夫なんですか?」 「私は両手を刺された程度だからな。心配ない」 その後、マスタングさんからイシュヴァール復興案を聞いた私は、早く傷を治さなければと思った。これからは、マスタングさんの目にもならないといけないから・・・ 私達の病室に、ノックス先生が来た。 ドクターマルコーを連れていて、イシュヴァール復興と引き換えにマスタングさんは賢者の石を譲り受けた。 マスタングさんの視力が戻って最初の夜が来た。 「星が綺麗だな…目が見えると言うことは、実はこんなにも幸せな事だったのだな」 マスタングさんが私の方を振り返った。 「すまない、リザ…私のせいで、また君の体に傷を増やさせてしまった…」 「何言ってるんですか、マスタングさんのせいではありませんよ」 急にマスタングさんが真面目な顔をして言った。 「なぁ、リザ…」 「はい…?」 「君が首を切られた時、私は君を失うのではないかととても怖くなった。 いつも私の側には君がいて、それが当たり前で… 私は、君がいない人生なんて考えられない。 …これからも私は、大総統を目指して更に頑張っていこうと思っている。だから… これからは、私の妻として、私を支えてくれないか?」 「でも…」 「『結婚して幸せになる権利など私にはない』と言うのだろう? 君は以前言ったな、『次の世代が幸福を享受できるよう我々が血の海を渡る』と。 だが、軍の施設にいて、本当に次の世代が幸せを享受しているのかなんて分かるはずがない。 だから…この目で、新しい世代が幸せかどうかを確かめないか?我々の手で、新しい世代を生み出して… それでも、どうしてもだめか?」 「私なんかでいいんですか…?」 「君じゃないとだめなんだ! 結婚してくれ、リザ」 鐘の音が、聞こえた気がした―――。 「どうせなら、もっとロマンチックな所でプロポーズされたかったです」 一年後、お腹が大きくなって産休に入ったリザは、時々そう言ってはロイをからかうのであった。 [*前へ] [戻る] |