トラの部屋 一番下のお兄ちゃん なんだ、寝てるだけか、良かったぁ。ホッとして寝ているとおるお兄ちゃんに近づいてく。 わぁ…… 綺麗な顔。 さらさらの銀色の髪が光に当たってなんだかすごく幻想的…。 ドキドキしながらとおるお兄ちゃんを眺める。 どうしよう、起こした方が良いのかな?でも勝手に起こして怒られちゃったらどうしよう……。そんな事を悶々と考えていると、不意にとおるお兄ちゃんの目が開いた。 「ん……」 小さな息を漏らしながらゆっくりと上半身を起こすとおるお兄ちゃん。 え、起きちゃった。 あーどうしよう、何言えば良いんだろう…… と、取り敢えず自己紹介からだよねっ? 意気込んでとおるお兄ちゃんに話しかけようとしたら、ゆっくりと横を向いたとおるお兄ちゃんと目があった。 瞬間、僕を見るなり目を見開いて固まってしまった。 え、え? 何で目ぇ見開いてるの?ハッ 僕の顔に何かついてる!? 「………天使?」 「……へ?」 て、天使? 急になんだろ……寝ぼけてるのかな?夢で天使の夢って、なんか可愛い。 僕は目を覚ましてもらうためにとおるお兄ちゃんの顔の前で手を降ってみる。 そしたら何故か手を掴まれた。 「ちゃんと起きてる。名前は?」 「ぇ?えっと、萩原千里です……」 「千里。俺は美山透」 「ぅ、うん、知ってるよ?僕のお兄ちゃんになる人だもん」 「……千里が再婚相手の連れ子なのか」 驚いたように呟くとおるお兄ちゃん。……そうだよね、急に弟ができるって言っても戸惑うよね。僕はお兄ちゃんができるから嬉しかったけど、とおるお兄ちゃんたちまでそうとは限らない。 弟なんていらないって言われたらどうしよう。 僕がよっぽど酷い顔をしていたのか、とおるお兄ちゃんが心配そうに顔を覗きこむように見てきた。 「どうした」 「…とおるお兄ちゃんは、僕が弟じゃイヤ……?」 とおるお兄ちゃん≠チて呼ぶのもイヤって言われたら、どうしよう。 もどる すすむ |