Settimana1
いつもと変わらない午後。最近、毎日のように外へ出ている為か学園内の状況が判らない。
ヒソヒソと耳打ちし合うカスどもに苛々しながらも、あの女のもとへ。
「う゛ぉおぉい!!ローサ!!」
『うわああ!!』
ある一部屋の扉を勢いよく開け、彼女の名を呼ぶ。
『び、ビックリしたじゃない!ノックくらいしなさいよ!』
「んなこたぁどうでもいい!!どうなってんだあ学園内はあぁ!!!どいつもこいつもヒソヒソと!!胸くそ悪ぃぞぉおぉ!!」
『そ、そんなこと私に言われても…』
ベッドの端に腰掛けていた彼女に思い切り叫ぶ。
おかげで苛々は止んだ。だがまだスッキリしない。
「…お前も知らねーのかあ?カス共の耳打ち合いの理由」
『知らないわよ!私もさっき学園に帰ってきたんだもの』
…そういやあ、今の時期は跡取りやら就職やらで騒がしい季節だったか。
そんなことを考えながら、ローサの座る隣へと腰を降ろした。
「ファミリーんとこに顔でも出して来たのかあ」
『うんっ。久しぶりに皆と会えて嬉しかった』
心から嬉しそうに微笑む彼女に鼓動が少し速くなる。
…隣に来なければ良かったと少し後悔。
紛らわしたい為に話題を繋ぐ。
「…お前はあれか。母親の跡を継ぐのかあ?」
『そうしようかなー。特に行きたいところないし』
コイツの母親…桜(サクラ)は日本出身のジャパニーズ・マフィアだったらしい。
ジャポーネで色々あって逃げていた彼女を今の父親が魅入って、チェラーゾファミリーの夫人に。
しかし、その父親は去年他界。今は6代目として母親がボスを務めている。
「チェラーゾもかなり勢力増してきたよなあ」
『あっはは。そうだね…ママン頑張ってるからなあ!次の世代が肝心だね』
「お前じゃねえか」
『まだわかんないよ』
顔を見合わせる俺たち。
だが、ローサから目を逸らされた。
『す、スクはどうするの?ヴァリアーからスカウト来てるんでしょ?』
「てめ、何故…」
つい最近の出来事なのに、俺しか知らない筈なのに。
少し動揺するが、すぐ冷静を装い。
『噂よ噂。あのボンゴレの暗殺部隊でしょ!?凄いじゃない!』
「はっ。当たり前だぁ。…まぁ断るつもりだがな」
そういうと、思い切りこちらに振り返ったローサ。
『はぁあ!?あんたバカじゃないの!?』
「んだとお!!?」
『バカあんた!大馬鹿者!だって大出世のチャンスじゃない!勿体ないよ!』
貶されてるのか褒められてるのか…いまいち判らないが。
人に出世だの将来だの言われるのは嫌いだ。
「俺は俺だあ。何処へ行こうが何しようが自分のことは自分で決める」
そういうと、落ち込んだ様子でまた腰かけるローサ。
そしてポツリと呟いた。
『スクって、そういうの駄目だと思うよ』
一週間1
(言えなかったずっとずっと)
(それは優しさなのか恐怖からか)
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