Condiscepolo2
鮫が去った草畑に取り残された馬と花。
「……んだよ、アイツ」
今にも泣きそうなディーノの髪を優しく撫でてやるローサ。
彼女も実際、かなりビビった。自分に向けられてはいないけど、あの殺気は本物だ。
正直、目が潤んでる。
『まぁまぁ。スクアーロも悪気はないんだから』
「悪気ありありだろ!あ…あんな怖い目で…」
うぅっ、とまた膝に顔を埋めてしまったディーノ。
仕方ないなと面倒見の良い彼女は離れることなく慰める。
…ローサは、考えた。
ディーノはキャバッローネの一人息子であって甘やかされて育ってしまい、マフィアやら裏社会やらに向いていない程優しく温厚な性格。
こんな彼がこの不良だらけの学園で生活出来てるのさえ奇跡に近い。
その奇跡に近い今を過ごしているのは、彼の家庭教師のお陰だろう。
なんでも、名の有るボンゴレ所属凄腕のヒットマンでかなりのスパルタらしい。(ディーノ談)
『…知ってる。知ってるよ、ディーノは凄っく頑張ってるの』
「…っう、」
『でもさあ…、いつまでもヘナチョコって訳にもいかないんじゃないかな』
髪を撫でる手をやめ、ゆっくりと立ち上がった。
「う、…ローサ…?」
『よし、私も頑張るよ』
「…へ?」
『ディーノやスクアーロに負けないくらい。2人が掛かってきても太刀打ち出来るくらい強くなる』
昼下がりの風に揺れる紅い髪と漆黒の瞳。
その眼差しを下から眺めるディーノの涙の後が残る頬は少し赤らんでいた。
「…な、なんだよいきなり」
『だから、ディーノはもっと頑張れって言ってんの』
「…っちえ。結局お前もスクの味方かよ」
『そういう問題じゃない!!』
珍しい彼女の大きな声に驚くディーノ。
『…いい、ディーノ。人には必ず何かの為に力を求めるの。どんなことだっていい』
そういうと、ぴょんっと跳ねてスクアーロが出ていった壁の上へと。
「お、おま何して…」
『私は2人に負けたくない!だから強くなる!』
ディーノに届くよう、
しっかり聞いて欲しいから。
そんなことを思いながら思い切り叫んだ。
そして、
『お互いの夢が決まるまで口は聞かない。学園生活最後の日、あんたに聞くから!』
――――何の為に力を求めるの?
同級生2
(俺にとっては彼女もまた、)
(越えなきゃいけない壁だった)
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