短編
リョーマくんが羨ましい女の子。
「リョーマくんが羨ましい」
「何で」
「リョーマくんになりたい」
「だから、何で」
「リョーマくんは、私に無いものいっぱい持ってる」
「そうなの?」
「うん」
「ふーん」
「だって、リョーマくんは皆に愛されてる」
「…どうだろ」
「皆がリョーマくんを頼りにしてる。生意気で自分勝手で人の話なんか聞かなくて、誤解ばっかされるくせに、結局最後は相手を丸め込む」
「…アンタが俺を普段どんな目で見てるのかよく分かったよ」
「ずるい」
「………」
「だって、私にはリョーマくんがそんなに凄い人には見えない。」
「何なのアンタさっきから。病み期?病み期なの?」
「私だって、認めてもらいたい、此処にいていいんだよって言ってほしい」
「…俺がいるじゃん」
「いらない、そんなの」
「矛盾してるよ」
「分かってる」
「どうしたいの」
「どうもしなくていい」
「ねえ」
「なあに」
「…今日はテニス見にくる?」
「……行かない」
「あっそ」
「ウソ。行きます」
「ん。待ってる」
『待ってる。』
その言葉に僅かに微笑む彼女に、俺は内心ため息を吐いた。
(愛されたい。素直に言えばいいのにさ)
よくわからなくなった。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!