短編 死んだ幸村くんと女の子 『好きだよ』 彼のその言葉に嘘はなかったはずだ。いつだって、あの人は私を一途に思ってくれていた。なぜ、私は、彼を拒んでしまったのだろう。今更後悔したって意味なんてないのに。 ただ怖かっただけなのかもしれない。もし頷けば、私と彼の関係が壊れてしまうかもしれない。そんな思いが邪魔をして、一歩が踏み出せなかった。 「幸村くん、あのね、私ね、」 震える声はどうしようもなくて、不器用に視線を落とした。浮かんだ優しい笑顔に、まぶたが熱くなって鼻の奥がツンとした。 大好きでした。 今更気付いたって、しょうがないのに、だって、幸村くんは、もう。 気持ちを伝えられなかったのは、きっと私が子供だったから。私はずっと彼の優しさに甘えていたのだ。いつだって私は気づくのが遅い。 隣にいないはずの彼の温もりを探して、私は泣いた。 「ねえ、なんで」 なんで死んだの。 (あなたの眠るこの場所で、私は何度泣いただろう) 初小説が死ネタww [次へ#] |