02 □ ■ □ 「着いたー」 「着いたねぇ」 あれからもう一時間、ようやく学園まで辿り着いた俺と俊樹は、無駄に大きい門の横にぽつんと付けられているインターホンを押した。 『どちら様でしょう』 「あ、俺今日入寮する予定の姫楽桃汰です。村上俊樹も一緒にいます。 遅くなってしまって申し訳ありません」 『ああ、外部生の。 ――少々お待ち下さい。今門を開けますので』 「はい」 インターホンを切った瞬間、門がギギギ、と鈍い音を響かせて開いた。 少々も待ってないよ。 「姫楽桃汰くんと村上俊樹くんですね。 はじめまして、私ここの守衛をさせて頂いている、藍施衛と申します。」 「姫楽桃汰です。よろしくお願いします」 「村上俊樹でーす」 語尾を伸ばすな。なんだそのふざけた挨拶は。と叱ってやりたかったが、それは脳内のみに留めておいた。 「こちら学園の地図になります。今日は理事長からお話があるだけですので、ゆっくりして下さいね」 「ありがとうございます」 にこりと柔らかく微笑む藍施さんは美人さんだった。 癒されるなーこの人。 疲れきっている今の俺にはこの人の笑顔はかなり効いた。 危うく惚れてしまうかと思った程だ。 ←→ [戻る] |