05
「でも、君なら何か変わるんじゃないかって思ったんだよ。
だから、君にこの学園へ来てもらったんだ」
「え、俺ですか?」
以外な事実……っていうか、なんで俺なんだろう?
「ごめんね。自分ではもうどうにも出来なくて、とても恥ずかしいのだけれど……」
「恥ずかしいなんて事は、ないと思いますが」
だって貴方は、何も出来ないと言うけれど、今もこうして学園の為に頑張っているじゃないですか。
「きっと、ここの生徒達のほとんどは私のやり方に納得はしないと思う。
これは大人である私の単なるエゴにすぎないのかもしれない。
でも、それでもね。
この学園が変わって欲しいと、願わずにはいられないんだ」
凜とした顔が語る、自らの学園への想いはとても強いものだった。
貴方の学園は、貴方の生徒達は、なんて愛されているのだろう。
「……理事長、」
不意に、俊樹が理事長を呼ぶ。
その可愛らしい顔には、ふんわりとした笑みが浮かんでいた。
「貴方は、とても人を見る目のある方なんですね」
「桃汰くんの事かい?」
理事長の言葉に、俊樹は頷く。
「桃汰は、とても変わった子だけど……とても普通の子でもあるんです」
「……矛盾してないか、それ」
俊樹の言葉に俺が突っ込むと、理事長と俊樹は顔を見合わせてクスクスと笑いだした。
二人とも可愛いなー。
「俊樹くんの言ってる事、私には分かるよ」
「だと、思いました。
受験が終わってから、何回かうちの学校に来てましたよね?
あれは、桃汰を見に来ていたんでしょう?」
ニッコリと笑う俊樹に、理事長は軽く瞼をあげた。
ていうか、俺それ初耳なんですけど……
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