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ハイラル/承
その視線の先には、森の緑を落としたような服に帽子を被った金髪碧眼の青年だった。

石垣から飛び下りながらプリムを切り裂いた後、アラモス卿に対峙しながら視線を私に投げ掛けた。
こくり、と私は頷き、
「コールエア!」
風の精霊を呼び出す。その間にも青年はアラモス卿の振るう剣を盾で受け、自らの剣を振り抜く。
滑らかな剣捌きは戦い慣れている事が見て取れた。
アラモス卿の剣が一本弾き飛ばされ怯む。
「プノエー!」
その隙を逃さずに風の魔法を放つ。風の精霊が旋風を更に巨大にさせアラモス卿に襲いかかり、吹き飛ばされていった。
剣でダメージを蓄積させ、その間に精霊を呼び出し風の魔法で吹き飛ばす流れを作ると、
亜空軍との戦いに余裕が出来て来た。
徐々に亜空軍が減り、最後の敵を風の魔法で吹き飛ばした後、しいんとした、元の廃墟に戻った。

「貴方の名前は?」
亜空軍からの襲撃から一つ区切りが着いて、私は問う。
青年は剣をしまいながら答えた。
「リンクって言うよ。君は……?」
「私はコヴォマカのエル。」

「コヴォマカ?このハイラルでは聞かない地名だね。」
ハイラル……
聞いたことのある地名に私は持って来た資料を取り出して目を通す。
ハイラルにはリンクとゼルダという人物がいて、その二人にオファーの手紙を届けると書いてあった。

手紙を取り出して、リンクへと差し出す。
「来るんじゃないかとは言われていたけれども……。」
オファーの手紙を受け取ると、気がひき締まるね。と続けながら手紙の封を開け、手紙を読み始める。

「どうしてリンクはここに来たの?」
「いつも使っていた剣が消えてね。ここに無いか確かめに来たんだ。
でも手紙を読んで判ったよ。招待先の森に安置されているみたいだ。」
手紙を畳んで微笑む。
剣を振るっていた時の引き締まった顔とは違い、彼独特の素朴な笑顔が輝く。
「これで安心したよ。後はカカリコ村の子供たちをトアル村に送り届けるだけだ。
エル。カカリコ村に招待するよ。さっきの敵のことについても聞きたいしね。」
廃墟の出口に向かいながら歩く。

カカリコ村に向かう道すがら、亜空軍のこと、亜空軍がファイターを襲う事、
そして私の国の事や、亜空軍を追っていたらこちらに来てしまった事を話した。
リンクはハイラルをめぐる旅を話してくれた。
少しだけしか話せなかったが、様々な武器を使って旅を続ける姿はオールラウンダーとしてのファイターの実力を実証していた。

ハイラルの豊かな緑の中で話は弾み、すぐにカカリコ村へと辿り着いた。

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