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ウィルオウィスプ/破
マドレーヌ先生が率いる私たちのクラスは、ある夏の間に悪に憑かれた集団の主を倒した後、
その腕を買いたい、と仕事の依頼が幾つかあった。
大抵は単位を取るためと、自分のポリシーに反する事を理由に断っていたけれども、
今回の依頼はとても興味をそそられた。

大乱闘スマッシュブラザーズXへの出演依頼状を各ファイターに渡す事。

スマッシュブラザーズ。
スター達が集まる祭典。そのファイターに選ばれる事は名誉であるとされる。
その祭典に参加できる。それは思ってもみなかった依頼だった。
「でもね、エル。あらかじめ伝えるよう言われていたのだけれど、この祭典の会場に、亜空軍の存在が認められたの。」

それが、あなたに頼まれた理由だろうけど、と付け足す。

「亜空軍?」

資料を渡されながら、初めて聞く名前に反芻する。
亜空軍。
詳しくは判らないけど、そいつらが祭典の邪魔をするのだという。
そして、ファイターを襲うのだという事も。

「なるほどね……。」

職員室を出た後、呟いた。
要するに、亜空軍というイレギュラーがいるため、出演依頼状を渡す役目は腕っ節のある人に任せたい、という事なのだろう。
そう片付ける事にした。
そのことを頭の隅に止めて、足を学校の外へと向ける。

一人、バスに乗り込み、運転手の威勢のいい声とともに発進した。
いつもの光景と騒音に目を閉じ、耳を澄ませる。

人のざわめきから、波の音へと変わっていく。
ヴァレンシア海岸はもうすぐだ。

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あきゅろす。
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