透、風紀を守る! 15
「歩き方からして何かしら武術を嗜んでるのは見てとれたからな。様子を見るにしても、手元に置いて損はないと思ったわけだ」
「はぁ……左様ですか」
俺はがくりとうなだれた。
「当時十蔵がいた高校に俺が異動して、教鞭取っている間にお前が入学したのも何かの縁だろう」
「え、うちの親父、ここの卒業生だったんですか」
「何だ……知らなかったのか?」
唐草先生が片眉を上げる。
「生徒会長をしてたはずだ」
「はぁ?!」
「俺は当時は違う高校にいたが、それでも話題にのぼる程だったぞ。十蔵が会長になって以来、代々あの長ランが引き継がれてだな……」
ぶはぁ!
俺は思いっきり吹いた。
「え、ちょっと待って……アレ、うちのクソ親父が着てたの?!」
「そういうことになるな」
だああ、須藤会長の格好、思いっきり那由と影で笑っちゃったじゃないか。
諸悪の根元はうちのクソ親父かぁぁぁ!!
なんかホント……スンマセン須藤会長……。
「そういや、木戸先生も十年くらい前に着ていたな」
……木戸先生は喜んで着てそうだから、どうでもいいや。
俺、とりあえず現実逃避したい。
隣で正座していた井原が俺を見ていたが、俺と視線が合うと慌てて目を逸らして、「き、聞こえてないよ?」と言った。そうしてくれ。
軽い脱力感を感じながらも、俺と井原は剣道部に入部した。
先輩たちは3人ともすごく喜んでくれた。
ここはハチコー内のオアシスとする。
次章:透、契約する!
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