闇夜の国 7 僕はふらりと立ち上がり、公園の片隅にある電話ボックスへと入った。 いつも家に帰る前に、一度電話をかけることにしている。 テレフォンカードを差し、自宅の番号をかけようとして、指先が震えた。 どうせ、誰も出ないのに。 夕闇は、見る見るうちに深まっていった。 あの暗い部屋には誰もいない。 戻ったところで、たった一人の住人になるのは分かっていた。 僕はもう、疲れてしまった。 ここは……闇夜の国だ。 イイナテンゴク。 僕は、虚ろにボタンを押した。 3回コール音がなって、 『はい、天国結社でございます』 と、明るい女性の声が出た。 [*prev][next#] [戻る] |