闇夜の国 14 「……シイナ」 ぼそり、と小さな声で呼ばれた。 シイナは息を呑んだ。 「泣いてるの……?」 シイナの膝の上で、タカシは心配そうな顔をしていた。 「……」 シイナは、咄嗟に何も言うことが出来なかった。 タカシの頬を思いっきりつねり、やっとのことで、 「バカ」 とだけ呟いて、鼻をすすった。 ――生きてた……。 頬の痛みを感じて、タカシはそう思った。 シイナが生きていて、良かった。 君がここにいてくれて、本当に良かった。 「すごい星だよ、タカシくん」 シイナはそう言って、空を見上げた。 気がつけば、本当の闇など何処にもなく―― きらめく星のかたまりとなった。 〜おわり〜 [*prev][next#] [戻る] |