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・飛鳥葛藤編3
「ここんとこ、親と顔会わせてないから自分でも忘れてた。俺、教えたっけか」

 俺がそう言って首を捻ると、太田が笑った。

「小学校の時にな」

「……ああ。ゲームのステッカー、もらったなぁ」

「あはは、そうだったな。キラのやつな」

「そうそう、キラのやつ」

「机に貼ってくれてたよな」

「……今でも貼ってある」

「え、本当か」

 小学校の入学と同時に買った学習机。椅子は一度壊れて買い直したが、身体の成長に合わせて高さを変えられる大人びたデザインの机は未だに現役だ。

 引き出しにベッタリと貼ったステッカーは、今見ても格好いいと思えるデザインで、太田とうまくいってない時期も剥がせずにそのままになっていた。

 子供の頃に一度呼んだきりだった太田を、数年ぶりに部屋へ招き入れた。

「……わぁ、大人っぽい部屋になったな」

 机こそ同じだけれど、それ以外の家具はほとんど変わっているはずだ。

「ステッカーだけ浮いてるよ」

 太田はベッドの上に腰掛けて、上目使いで俺をチラッと見て笑った。

 俺は再び壁に頭を打ち付ける羽目に陥った。

「だあっ! 太田、腹減っただろ? ケーキのお礼に晩飯作るから!」

「あ、ああ……」

 考えてみたら、中学校以降で部屋に入れた人間なんか、これまでに付き合った女くらいで。

 純粋に小学校時代の思い出に浸る太田に、俺は、俺は……。

 半分ナミダ目で、芹沢に『バイト終わったら速攻でうちに来い』とメールを打った。



 怪訝そうな顔で現れた芹沢を食卓につかせて。

 冷蔵庫にあるもので適当に作った晩飯と、生クリームを添えたバナナケーキを3人でたいらげた。

 そんな17歳の誕生日。

***

 飛鳥君(自称ノーマル)のヘタレ!(笑)

 はな♪様、少しでも喜んでいただけたら嬉しいです。

(2011.11.10拍手)

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あきゅろす。
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