『同趣味』SS・西野コンビ中一編1
『同じ趣味、違うアイツ』から。何をとち狂ったか、中学時代の久野君目線SSナノデス。
***
シンちゃんとは物心ついた頃からの仲良しだ。
いつも悪戯ばかりしていて、子供の頃からお母さんや先生に怒られてばかり。
でも、昔からちょっとぼんやりしている俺を気に掛けてくれて、子分にしてくれた。俺が虐められていると、5秒で飛んできてやっつけてくれた。
実はオバケとか苦手なくせに、たとえ肝試しの時だって俺の前を歩くんだ。
いつの間にか背丈は俺の方がでっかくなっちゃったけれど。
俺はシンちゃんが世界で一番格好いいと思っている。
中学校の入学式の日。
家から飛び出してきたシンちゃんの頭は、金色になっていた。
「どうだ! 格好いいだろう」
「すごいね! シンちゃん、ひよこみたいだ!」
「それは褒めてねぇ!」
シンちゃんは俺の手を引いて走り始めた。
「この腐れシン! 何だその頭! 待ちやがれ、クソガキ!」
家の中からすごい怒鳴り声が聞こえた。
「シンちゃんのお母さん、怒ってたね」
「女にはわかんねーんだよ、この良さが」
「シンちゃん、不良になるの?」
「不良はなろうと思ってなるもんじゃない。気が付いたら周りからそう呼ばれているものなのさ」
「何だかわかんないけど、格好いいね」
「おう。そうだ、これから俺のコトはシンちゃんじゃなくて、西山と呼べ。そっちの方が男らしいからな。呼び捨てだぞ」
「わかったよ、西山! おお、男らしいね!」
「というわけで、俺も今日から久野って呼ぶからな」
「え、俺はキューちゃんがいいよ。俺は男らしくなくていいよ」
「なぬー。……まぁ、それなら仕方ないな」
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