『同趣味』SS・バカップル編1
今回も、『同じ趣味、違うアイツ』の新入生、瀬名君目線SSです。
腐れ脳で見た二人を楽しんでいただけると幸いです。
***
あ、どうも、瀬名です。
無事ハチコーに入学した俺ですが、ゴスロリちゃんは夢の彼方に消えました。
本当に普段地味すぎです、ゴスロリ先輩!
でも、誘われるままに長期課題のチームに入りました。噂の彼氏が戻ってきた時のために、今年から全学年混合でチーム作れるようにしてもらったそうです。愛だな愛。
もちろん俺は今年の学祭でゴスロリちゃんの再降臨を狙っています!
そして、6月。
先輩たちは修学旅行先で、なんと噂の彼氏を発見して連れ帰ってきました。
小山内先輩がこっそり教えてくれた話によると、ゴスロリ先輩のお姉様が腐女子仲間に二人のラブラブ写真を配って目撃証言を募ってたらしいです。うーわー。
ゴスロリ先輩の彼氏という芹沢サンは一年留年して俺と同じクラスになったんですが、髪の毛は真っ白だし、イケメンだけど目つき鋭いし、メチャメチャ不機嫌そうだし、とても近づけないオーラがバリバリ出てます。
ところが昼休み、ゴスロリ先輩が1年の教室にやってきた途端。
誰かと思いましたよ、あの笑顔!
一言で言えば「デレデレ」です。ゴスロリ先輩限定で!
後ろからついてきてた小山内先輩は口元を押さえて萌えまくってました。
その後、空いてる机と椅子借りて四人で弁当食ったんですけど、目の前のバカップルは一個の弁当を「あ〜ん」ってしながら二人で食ってやんの。
「先輩……なんか独り身の俺には若干居心地悪いです」
そう小山内先輩に耳打ちすると、
「あのね、信じられないかもしれないけど、彼ら実はまだつき合ってないから」
と教えてくれましたよ。マジかー!
「清、米粒ついてる」
ひょい、ぱくっ。
やると思ったけど、やっぱりやったよ……ほっぺたのごはんを拾い食べ攻撃。
幸せそうな芹沢サンに、ゴスロリ先輩は平然とした顔で「ああ、悪い」と返してました……。
「ゴスロリ先輩って天然ですね」
と言ったら、ゴスロリ先輩に「誰がゴスロリか!」と叩かれました。「ひょい、ぱく」は平気なのに、そこは怒るんですね。
「す、すみません、清先輩……」
と謝ったら、今度は芹沢サンにグーで殴られました。
「お前は清って呼ぶな!」
こ、こえぇ! めっちゃ凄まれました!
小山内先輩に目で助けを求めると、先輩は大喜びしてました。
あわわ、そこは喜ぶとこですか。俺、もしかして芹沢サンに嫉妬されてるんですか。
軽く泣きそうになったけれど、ゴスロリ先輩――じゃなかった、太田先輩が笑いながら「瀬名君はキミのファンだぞ」と言った途端、芹沢サンはキョトン顔に。
「学祭の時のゲームグラフィックは小山内君と皆慈の合作だ。音楽はこの瀬名君がつけてくれたのだぞ」
と言われて、お互いちょっとテンションが上がったのがわかったね!
「うわー、マジっすかー! すっげぇー! あのゲームめっちゃ面白かったです!」
熱く握手を求めると、芹沢サンは戸惑いながらも手を握り返してくれた。
「……曲も良かったな」
と、照れくさそうにボソリ。うわ、この人ちょっとかわいいかも。
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