同じ道、同じ言葉 8
ビーチバレーの後は、とりあえず腹いせに瀬名の身体を砂浜に埋めてみた。
「もっとボインにしよう」
と、真顔で言い出したのは久野。
「ちょっとー、お嫁に行けなくなります俺ー」
と嫌がる瀬名を無視しつつ、砂山をボンキュッボンに形成し、胸と股間に貝殻を乗せた。小山内が大爆笑しながら写真に撮っていた。
瀬名を埋めたままで、スイカ割りもやった。
棒を持たされたのは皆慈。素振りの風きり音がビュンビュンと鳴った。
目隠しをしてクルクル回し、やれ右だ、左だと指示が飛ぶ。
「ちょっ、芹沢サン! こっちは俺です、スイカじゃないです! 俺が割れたら大惨事です!! ちょっとシャレにならんて剣道部!!」
瀬名が必死に叫んでいた。
「……で、これは何だ」
海で散々遊んでの風呂上がり。
浴衣姿で旅館の大部屋に戻ると、瀬名が手にしていたそれ。
「何って、メイド服です先輩」
「いや、メイド服であることは認識できている」
「太田先輩への罰ゲームです!」
……いい笑顔だ。
どちらかというとゴスロリ服に近い黒のワンピースに、フリフリのエプロンドレス。もう片方の手には、白いフリルのついたカチューシャもあった。
「一体どこから持ってきたのだ、それを」
「この旅館、俺の親戚がやってるって言いましたよね。ここの一人娘、俺の従姉妹のなっちゃんがコスプレイヤーなんですよ。そこに待機してますよ?」
瀬名がそう言うと、扉の向こうから髪の毛の長い女性がひょこっと顔を出した。俺たちより少し年上くらいだろうか。
「うおっ、可愛い!」
西山が叫ぶと、瀬名の従姉妹のなっちゃんとやらはにっこりと笑って会釈した。
「ほんとお前はサラサラロングヘアに弱いなぁ」
久野が呆れたように言うと、「巨乳好きのお前に言われたくない!」と西山は口を尖らせた。
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