同じ道、同じ言葉 25
学祭を終えて、秋も深まったある日。
「次の週末、お友達呼んでタカちゃんのお誕生会やるぅ?」
と、母が言った。
カレンダーを見ると、確かに今年の誕生日は土曜日だった。
「いいよ。この歳にもなって恥ずかしい」
「だって、タカちゃん一度もお誕生会やったことないじゃない」
「う……まぁ。そうだが」
ふと、横で食パンをかじっている皆慈の視線に気がついた。
「……時に、キミはお誕生会なるものに参加したことはあるか?」
「ねぇな」
「そうか……。お互い、初ものはとりあえずやっておくか」
小山内と瀬名と飛鳥を呼ぶことにした。
飛鳥はレストランのバイトの後、そのまま皆慈と共に俺の家までやってきて、母の料理を手伝っていた。
俺も洗い物くらいはしようと思ったが、「主賓は座ってろ!」と怒られた。既に我が家の台所に関しては俺より詳しいに違いない。
小山内と瀬名がやって来た時にはちょうど最後の料理を終え、熱々のフライドチキンがテーブルの上に置かれるところだった。
そして、テーブルの中央には、飛鳥の持参してきたケーキが……。
「え、もしかしてこれ、手作りなのか?」
「おう。こないだバイト代でオーブン買ったから作ってみた」
それは高校生がポケットマネーで買うものなのか。
生クリームの上にストロベリー、ラズベリー、ブルーベリーがぎっしりと敷き詰められ、上から粉砂糖がうっすらとかけられているケーキは、あまりにも美味しそうだ。
「飛鳥君、もう完全にプロ級の腕前ねぇ……」
母がうっとりしながら言う。
「キミはいつでも嫁に行けるな」
「残念ながら、ウェディングドレスのサイズがねーな」
そう笑いながら、飛鳥はケーキにろうそくを立ててゆく。
「……ううむ、さすがに17本も立てると、何やら怪しげな儀式のようだが」
「ぶはっ。数字のろうそくでも買えば良かったね」
あの美しかったケーキの惨状に小山内も笑った。
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