違う印象 2 さすがに絵を描き慣れているらしい小山内が真っ先に描き上げた。 「こんなのはどう? 本来は敵同士なんだけど、共通の敵を倒すためにとりあえず一緒にいる女刑事と殺し屋の男」 ミニスカートでキックするセクシーな女性と、黒スーツ姿で二丁拳銃を持った美形の男が描かれていた。 「さすが上手いな。いいと思う」 俺が褒めると、小山内は嬉しそうに頭を掻いた。 「俺も描けたぞ。歴戦無敵の傭兵と、そいつをサポートする科学者だ」 芹沢が見せたノートには、バズーカーを抱えたムキムキマッチョの男と、ヘリや戦車が描かれてた。予想外というか、やたら上手い。 「す、すごいね。芹沢君って絵が上手なんだね!」 「キミにこんな才能があったとは……」 小山内と俺が口々に絶賛すると、芹沢はニヤリと笑った。 「で、お前はどんなの考えたんだよ」 「……キミ達の目にさらすのが恥ずかしい」 俺がそう言うと、芹沢は俺のノートをパッと奪った。 そこには髭の生えた人らしきものと、謎の巨大生命体がのたうち回っていた。 「……なんだコレ」 「宇宙人?」 「中国拳法の使い手である爺さんと、その孫娘(6歳)を頭の上に乗せている巨大パンダだ。孫娘はパンダを手なずけており、パンダがパンダ拳法で戦う」 「これ、パンダか?!」 芹沢が大爆笑した。だから、俺は絵心がないと言うのに。 検討の結果(というか、ほぼ自動的に)、グラフィック関係は二人に任せ、プログラム周りは俺がメインで動くことになった。 その後も議論を重ね、とりあえずボタン連打でもそこそこ遊べる初心者向けの格闘ゲームを目指すことにし、アイデアを出し合ううちにあっという間に時間が過ぎて行った。 [*prev][next#] [戻る] |