同じ道、同じ言葉 19
早川と皆慈が悪態をつきながら別れた後、俺たちは教室へと戻った。
驚いたことに、喫茶店や出店などに比べると全く人気がないはずの一般展示物の中で、俺たちの作ったゲームは順番待ちになるほどの人気となっていたのだ。
「お、帰ってきた」
小山内がこちらに気が付いて手を振ると、並んでいた人たちがグリンッと一斉にこちらを見たため、俺は一瞬背筋が凍った。
『ゴスロリっ娘、ご帰還〜!!』
『待ってましたぁ〜!!』
突如わき起こった大歓声にびびって、俺は思わず皆慈の後ろに隠れた。
「な、な、何事であろうかこれは……」
「ゴスロリお嬢様と写真を撮りたい人の群れ」
小山内は、列に並ぶ人々からドリンクの注文を受け付けている男にジンジャーエールを注文しつつ、しれっとそんなことを言った。
「お前ら……これ、男だぞ?」
皆慈が呆れたように言うと、瀬名がガタンと立ち上がった。
「セバスチャンは何もわかっちゃいない……。可愛いは正義。絶対領域は地球を救う」
瀬名、目の色がおかしいが大丈夫か。
しかし、周囲の男たちも『そうだそうだー!』とはやし立てている。
「ア? 俺、アウェイ?」
皆慈が眉を顰めて俺を見た。俺にわかるわけがあるまい。
少なくとも彼らが好きなのはこの服であって俺ではなかろう。
「そんじゃ、受付はじめますか」
小山内の横にいた男が小さな金庫を取り出して、何やら食券を売り始めた。
「サッカー部名物、サッカーボールお好みがオススメですよー」
瀬名も手を叩いて呼び子をしはじめた。
そして、食券を握りしめた人が、俺の前でニヘッと笑った。
「はいはい、ゴスロリお嬢、隣に並んで!」
先頭の人からカメラを受け取った小山内が、俺を追い立てた。
「……キミ……サッカー部に俺を売ったな?」
「あ、大丈夫。売り上げのいくらかは剣道部に行く手はずになってるから。さっき部長同士で話してたよ?」
ぶ、部長ーッ!!
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