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違う過去 3
 本屋にでも寄って帰ろうとすると、小山内も自転車を押しながら一緒についてきた。どうやらまだ話を聞き足りないらしい。

「ねぇねぇ、芹沢君の私服ってどんな感じなの?」

「ふむ……ミリタリー系と言うらしいな」

「寝起きの芹沢君ってどんな感じ? やっぱオーソドックスに低血圧?」

「低血圧っていうより慢性の寝不足だ。寝るのが毎晩3時とか4時だから」

「ふぅん。二人で一緒に寝たりするの?」

「基本的に就寝時間は合わないから、彼は仏間で一人で寝てる。休みの日は深夜までゲームやってて一緒に寝落ちしたこともあるが」

「寝落ち……色気が足りないんだけど。一緒にお風呂とか入ったりしないの?」

「たまに」

「え、えええ! マジで?!」

「意気揚々と父まで入ってくるぞ。狭苦しい」

「お父さん、邪魔!」

「……楽しいのか、こんな話?」

「楽しいよ! 超・超・超・楽しいよ!!」

「そうか。しかし、こういう趣味はもう少し秘めておくがいい」

「え、えへへ。でも、最近やたら芹沢君の長期課題の進みがいいと思ったら、きっと二人で相談してるからなんだね」

「ああ、そうかもしれないな」

 芹沢は既に各キャラのモーション画像に取りかかっていた。

 技の内容は俺と芹沢の二人で考え、パラパラ漫画のように芹沢がスケッチブックに描き出したものを、パソコンでの描画に慣れている小山内がクリンナップするという分業だ。

 意外にも小山内がデザインしたゴスロリキャラなども器用に描いて、俺たちを驚かせた。

「芹沢君がゲーム業界目指すなら、グラフィッカーが向いてると思うな」

「俺もそう思う。もし時間があったら、ペイントソフトの使い方を教えてやってくれないか」

「OK。芹沢君ならすぐ使えると思うよ」

 あれだけビビっていた小山内も、今ではすっかり芹沢に慣れたようだった。

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