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同じ家 12
 当然のごとく、両親は二つ返事でOKを出した。

「そっ、その代わりと言っては何だが、芹沢君っ!」

「は、はい」

「今度一緒にキャッチボールをしよう! あ、芹沢君、下の名前は何と言うのかな」

「皆慈……です」

「そうか。カイ君と呼んでもいいかな! 俺のことはお父さんと呼んでいいからな!」

「……」

 テンションMAXの父に腕を掴まれて、ブンブンと握手をさせられていた芹沢の顔は真っ赤だった。

「良かったなぁ、カイ君。もはや家族の一員だな」

「ううう、お前までカイ君とか呼ぶのはやめてくれ……」

 脱力する芹沢の横で、母が拗ねはじめた。

「パパばっかりずるいー。ママはねぇ、お写真を一緒に撮って欲しいなぁ」

「はぁ……」

「あのね、お洋服を整理してたら、ママの学生時代のセーラー服が出てきたの! カイ君と一緒に並んで撮って欲しいの!」

「母よ、年甲斐もなくコスプレか」

「やぁだぁ。着るのはタカちゃんよ」

「オ・レ・か・よ!?」

 芹沢の横で、俺まで脱力する羽目になった。

 というか何十年前のセーラー服だ。嫁入り道具にするな。親父の趣味かっ?!

「漫画のシーンをねっ、再現したいの! キャッ!」

 夢見る少女のような母は、顔を手で覆って恥ずかしがっていた。恥ずかしいのはこっちだ。

「ぐ。ぐぐぐ……了解した」

「ちょ、顔色おかしいぞお前?! 無理すんな」

「いいや、背に腹は替えられん。キミの住む場所がかかっているのだからな。俺がちょいとスカートを履けばいいだけのことだ。はっはっは」

 俺の覚悟に芹沢は感動していたが、不穏な気配を二人同時に感じてゾクッとした。振り向くと、悪魔の笑みを湛えた姉貴がいた。

「じゃあ、私はねー」

「姉貴の言うことは聞かん」

「何でよー、ケチー! ケーチー!!」

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