同じ家 7 「バイト先ってここなのだな」 「まーな。……お前の姉貴にバレたのが怖いんだが」 「いやぁねぇ。別にチクッたりしないわよ」 芹沢が心配してるのはそこじゃないと思うがな、姉貴。 「飯でも食いに来てたのか?」 「ああ。姉貴の彼氏に中華をおごってもらった」 俺が児島さんを紹介すると、児島さんは芹沢と俺を交互にチラチラ見ながら照れていた。……絶対、よからぬことを想像しているな。 「このゴミ捨てたら、今日は上がりになったんだ。飯つきあえよ。ドリンクくらい飲めんだろ。おごるから」 芹沢がそう言うと、姉貴がにまっと笑った。 「ってことは私たちはここで別行動ね! ごゆっくり〜」 そう言って、姉貴は児島さんの腕を引いてサッサと歩いていった。 「帰り、バイクで送ってやる」 「ありがたい。また泊まっていくか?」 「んー、そうすっかなー。じゃ、店ン中で待っててくれ。すぐ着替えてくっから」 「わかった」 雑誌コーナーをウロウロしていると、「ねぇ、キミ」と声を掛けられる。 振り向くと、このコンビニの制服を着た男性が立っていて、ネームプレートには「店長・芹沢」と書かれていた。 「皆慈のお友達?」 「はい。太田と言います」 「はじめまして。皆慈の叔父です」 「ああ、なるほど。親戚の店だったのですか。深夜に働いてると聞いていたので、ちょっと心配していました」 俺は手にしていた雑誌を棚に戻した。 「本当は良くないってわかってるんだけど事情があってね。アイツも強情だから食い扶持は自分で稼ぐって言うし。でも、心配してくれる友達がいて安心したな」 あまり芹沢に似ていない童顔の店長はにっこりと笑った。 [*prev][next#] [戻る] |