違う印象 17
しかし、俺はどうしても気になっていた。
「キミ、本当に病院で怪我を見てもらわなくていいのか?」
「平気だっつってんだろ」
「だって、頭だぞ?」
そう言って、芹沢の頭部の傷を確認する。水で流して綺麗にはなっていたが、ここには救急箱もないため、洗いざらしのまま少し血が滲んでいた。
「うちまで送ってくれるなら、そのまま泊って行かないか? うちの方が学校にも近いし、何度も往復するのも手間だろう」
「はぁ?」
「こういう時の一人暮らしは怖いからな。というか、俺が心配しすぎて眠れないから是非そうしてくれたまえ」
「心配性だな」
「当たり前だ。もしキミに何かあったらどうするのだ。文句は言わせん。はい、決定!」
「……たまーにお前、すごく強引だよな」
そう言いながらもちょっと嬉しそうな芹沢は、鞄に制服を放り込んだ。
バイクになど一生乗ることはないと思っていたが、まさかタンデムする日が来ようとは。
芹沢に借りたヘルメットを被り、半袖でバイクに乗るとまだ寒いから、と上着も借してくれた。
振り落とされないようにギュウギュウにしがみつくと、芹沢が「臆病だな」と笑った。
それほど遠い距離ではなかったが、随分ゆっくり走ってくれたせいか、家に戻ると既に午前1時を回っていた。
バイクを庭先に停めてうちに入ると、両親は寝ていたが姉貴はまだ起きていた。
「遅かったわねぇ、タカちゃん。今日はどう……あら、こんばんは」
俺の後ろにいる芹沢に気がついた姉貴は目を丸くした。芹沢がペコリと頭を下げる。
服を汚したことを謝ると、姉貴はニヤニヤ笑った。何かよからぬことを想像しているに違いない。
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