違う印象 8
「個人的には警察を呼ぶのが一番だと思うが、俺でも相手の気を引くくらいできる」
乗り気な俺の言葉に、芹沢は「お前な……」とため息をついた。
「この西野君とやらは、友達のためにここまで頭を下げているのだろう。俺もキミが困っているならば力になりたいと思わずにはいられない」
「み、見た目によらず、熱い男だ……」
金髪君はちょっと感激して涙ぐんでいるようだった。
「わーったよっ! その代わり、お前はただの連絡係な。ヤベェと思ったらすぐ逃げろ。何かあったらケータイで連絡よこせ」
「残念ながら携帯電話は持っていない」
「マ・ジ・か。あーもー俺の貸したる。西野、お前のケー番とメアドよこせ」
「芹沢、本当にいいのか。手を貸してくれるのか?!」
「仕方ねーだろ。何かコイツめっちゃやる気だし。でも、コイツの言うコトももっともだ。手に余るようなら110番するぞ」
「わかった……」
「正直、ここんとこずっと暴れてねーから勘鈍ってるかもしんねぇ」
「ハチコー入るくせに不良辞めるってマジだったのか」
「冗談でンなコト言ってどうすんだよ」
芹沢は口をとがらせてそっぽを向いた。
「中学時代、二人は仲が良かったのかね」
俺がそう尋ねると、金髪君は首を捻った。
「……むしろ悪かった、な」
「覚えてねぇ」
「テメー、通りすがりに人の鼻骨を折りやがったくせにそれか!」
「アア? ヤんのかゴルァ」
キューちゃんとやらを助けに行く前にバトルが勃発しそうだったので、芹沢の襟首をグイッと引っ張った。「グゲェ」とガマガエルを踏みつぶしたような声がした。
「キミの中学時代がバイオレンスなのはわかった。今、最優先はキューちゃんとやらの身の安全だろう。余計な戦闘力を費やすな」
芹沢は不機嫌そうに首をさすりながらも頷いた。金髪君は目を丸くして俺と芹沢の顔を交互に見ていた。
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