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違う印象 1
 長期課題の俺たちの班には、小山内という男が入ってきた。

 中肉中背でごく普通の顔だちをしている彼は、密かに漫画イラストを描くのが趣味だそうで、俺たちの企画に興味を示したのだった。

 集団行動が苦手で意外と人見知りな芹沢は少し緊張しているようで、眉間にしわを寄せ、腕組みをして貧乏揺すりをしている。

 自ら進んで入ってきた小山内だったが、不機嫌そうな芹沢とは距離を置いてビクビクしていた。

 ま、二人とも追々慣れていくだろう。

 長期課題の最初の時間は、まずゲームのジャンルと方向性を考えることにした。

「やっぱ格ゲーだろ、格ゲー」

 芹沢がニヤリと笑って言う。

「格ゲーって、格闘ゲームですか。ぶっちゃけ僕、やったことないなぁ」

 小山内が渋るそぶりを見せると、芹沢が睨みつけた。小山内が「ヒィッ」と小さく悲鳴をあげる。仲良くやって欲しいものだが……。

「学祭での発表が目的となると、短時間でも楽しめて、子供から大人までたくさんの人が遊べるものにしたい。格ゲーはわりと良いチョイスだと思うのだが、どうだろう」

「なるほどねぇ。でも僕、あまりマッチョ描くのは得意じゃないよ」

「ふむ。それならば、女キャラを半分くらい投入してみるか」

「げっ、半分はちょっと多くねぇ?」

 芹沢が眉を寄せる。芹沢は基本的に男キャラしか使わないのだ。

「ならば、基本的に男女ペアで戦う設定にして、選ばなかった方がサポートに回るというシステムはどうだろう。初心者救済にもなるし」

 芹沢も、それには同意した。

「できれば男だけのチームもあるといいな」

「そうか。では、女だけのチームと1つずつ入れてみてはどうだろう」

 とりあえず、使ってみたいペアの設定を3人で考えてみることにした。

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あきゅろす。
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