同じ夢 11 いつもなら夕飯の後にすぐ帰宅する芹沢だが、日曜日はバイトがないらしく、久々に書斎(という名の漫画部屋)へ立ち入った。 本を選んでいた芹沢を見ていると、俺はふと思い出して、 「そういえばキミ、明日からの長期課題はどうするつもりなんだ?」 と尋ねると、芹沢は怪訝そうな顔をしてこちらを見た。 「何の話だよ?」 「HRの時に担任が言ってただろ……」 担任の話によると、明日から長期課題の時間が設けられ、三人以上でひとつの班を作り、秋の学校祭で何かしらの成果を展示するのだそうだ。 「何かしらの成果って何だよ」 「何しても良いってことではないだろうか。まあ、人様に見せられる範囲でだろうが。もし良ければ、一緒に何かゲーム作らないか」 「エッ、お前もうゲーム作れるのか?」 「子供の頃から多少プログラム囓ってるからな。簡単なものなら作れると思う」 「うわ、マジか。ゲーム作りてー!」 「じゃあ、もう一人何とか引っ張って来ないとな……」 「別に二人でもいいだろ」 「最低限の人数に満たないと、『この子を受け入れてくれる優しい班はありませんか』って先生に言われるオチだと思われる」 「悲しい修学旅行の図だな」 「キミもその口か?」 「団体行動が面倒でサボった」 「……。すごいな、修学旅行をサボるという選択肢があること自体が」 俺が妙なところで感心すると、芹沢はフッと笑った。 「なーんか、すげぇ楽しみだわ。長期課題」 「ああ。面白いの作ろうな」 俺たちは顔を見合わせて、にっこりと笑った。 [*prev][next#] [戻る] |