同じ道、同じ言葉 32 家族を代表して、俺から芹沢家の子供たちにプレゼントを渡す。 俺の両親からはお揃いの子供服。姉貴たちからは(マトモな)絵本。 皆慈と俺からは、特撮ヒーローの変身アイテムだ。 「へんしーん!」 「これでカイ兄みたいに強くなれっかな?」 「俺よりもっと強くなれるだろ」 「マジかー。すげー! ライダーキーック!」 「きーっく!」 「いてっ、いてて!」 皆慈は小さな従兄弟たちから散々蹴られまくっていた。結構楽しそうにしている。 「いやはや、それにしても意外のような、そうでないような……」 皆慈の叔父さんが俺のサンタガール姿をマジマジと見て、ちょっと困ったような顔で笑った。隣にいる奥さんも、くすくすと楽しげにしている。 「うん、似合ってるね、異様に。……あっ、もしかしてあの時のセーラー服」 がはっ、思い出さないで下さい。常日頃のように女装しているわけでは決して……最近何やら女装率が高いですが、決してそのようなわけでは! 「ところで皆慈。学校の方はどうだ」 叔父さんが、皆慈の隣を陣取って話し始めた。 「こないだのテストは俺にしちゃ上出来だったよ。優秀な専属コーチがいるからよ」 皆慈はそう言って、俺の方を親指で指した。 「そーか、そりゃすごいな。せっかくだし一杯飲むか?」 「いや、バイクで来てっから」 「お前も真面目になったもんだな」 「コイツ乗っけて帰るから、事故れねーもんよ」 「ふっ……変わるもんだな。太田家には足向けて眠れないよ」 叔父さんが優しく笑った。 「皆慈、俺は太田君ならば祝福するぞ」 ――どうして俺の周りには、性別の垣根をこう易々と越える人ばかりが。 「太田君はどうだい、飲むかい?」 「飲ませるなよ。コイツ、酒癖悪いから」 「…………」 ああ、俺はこのジュースで十分ですとも。 [*prev][next#] [戻る] |