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 格ゲーに没頭しているヤツの横で茶を飲みながらぼんやり見ていると、俺の視線が気になりだしたのか、芹沢は急に「お前もやれよ」と言い出した。

「やめておこう」

「何でだよ」

「俺の方が強いから」

「ふざけんな、俺の方が強ェ!」

 譲らない芹沢に、渋々コントローラーを手にした。


 ――当然俺の圧勝。


「あ……ありえねぇ……」

 芹沢は打ちのめされていた。

「だから言っただろう」

「お、俺だってゲーセンでランキング入りしたコトあんのによぉー」

「ああ、キミはなかなか上手いと思う。俺がアホみたいにやり込んでいるだけだから気にしないでくれたまえ。それに、リアルファイトならキミに秒殺される自信がある」

「あったり前だっつーの」

 俺が持ち上げると、芹沢はちょっと機嫌を持ち直したようだった。

「キミは間合いが微妙な瞬間があるな。そのキャラを活かすなら、心持ち間合いを離してダッシュPからコンボを決めるといい」

 俺は芹沢の使っていたキャラで試しに戦って見せる。

「しゃがんでかわしたらK、飛んで逃げたらこっちの技。うまく当たったらダッシュで近づいて投げて、浮いたところに必殺技入れるとかなり繋がる」


 ――K.O! エクセレント!


「ま、待て待て。何だって?」

 芹沢が身を乗り出してきたので、交代して順番に教えてやる。

「もう1歩くらい離れて。そう、そこからダッシュPで……」

 それなりにやり込んでいるだけあって、芹沢は飲み込みが早かった。

 同じコンボを何度か練習していると、母がひょっこり顔を出した。

「タカちゃん、夕飯のお時間ですよぉー」

「げっ、マジか?!」

 芹沢が携帯を引っ張り出して時間を確認する。もう夜の7時だった。

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あきゅろす。
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