同じ過ち 8 「おい、飛鳥。芹沢が来る前にそいつに傷つけんじゃねーよ。芹沢ぶっ潰してからにしろ」 林がそう言うと、飛鳥は舌打ちしながらも足を退かした。 「オータ、大丈夫か?」 「……ああ」 「全く何考えてんだよ、ハゲ&飛鳥」 「ぶはっ」 西山のハゲアス発言に吹き出したのは、当の飛鳥だった。慌てて口を塞いでその場を離れて行った。 そういや小学校の頃、飛鳥はよくダジャレばっか言ってたな……。 「あの林って男、前は髪の毛があったと認識しているのだが」 「早川にバリカンで眉毛ごとバリバリ〜ってやられたらしいぞ。今は開き直ってあの状態」 西山がそう言うと、久野がハッとした顔をして小声で言った。 「……そういや俺、早川のケー番知ってる」 「は? 何で?」 「林が逆恨みしたら言えって」 「あほ、もっと早く思い出せよー」 「仕方ないだろ。表立ってたの飛鳥だったし、聞いてきたのは芹沢のコトだったし」 「ケータイは?」 「胸ポケット……あ」 「どうやって取んだよ」 俺は手錠をかけられていたし、二人もロープで手を後ろに縛られている。 「……試しに口で何とかやってみるか……」 飛鳥に蹴られて横になりっぱなしだった俺は、そっと久野の背後に回り、ロープを見る。 「ん? これ、もやい結びだな。これなら簡単にはずせるぞ」 「え、でも全然びくともしないぞ?」 「船を固定する時や荷造りによく使われる結び方なんだよ」 俺はそう言うと、久野のロープに噛みついた。 [*prev][next#] [戻る] |