同じ過ち 6 車は町はずれの倉庫の前で止まった。 後ろ手に手錠をはめられ、俺は既に抵抗を諦めていた。 こういう時は暴れるより、いつでも逃げられるように体力を温存するのがモットーだ。 倉庫の中には、どこかで見た男がいた。 ……林、だ。 髪の毛はつるつるに剃り上げられ、眉毛まで無くなっていたために一瞬わからなかった。 「くくっ、俺のこと覚えてるみてーだな。恨むなら芹沢を恨めよ?」 眉無しのスキンヘッドが含み笑いをすると、恐ろしさが倍増した。 表でもう1台車が停まる音がして、振り返るとそこには携帯を手にした飛鳥がいた。 「……何でお前がいるんだ」 顔を顰める飛鳥に、俺は言葉を返せなかった。 「芹沢の女だ」 林は未だに勘違いしているようで、そんなことを言った。 「……ふぅん。ホントにオカマちゃんになっちゃったわけ。高校生にもなって、そんな可愛いカッコしてるしな」 飛鳥が冷たく言った。 「は? オカマ? まさか、そいつ男なのか?」 「知らないで連れてきたのかよ」 飛鳥は鼻で笑うと、後ろを向いて手で合図をした。 男たち数人が抱えて連れてきたのは、ズタボロになった西山と久野だった。 「芹沢の連絡先は見つけたか」 「ああ。西山の携帯に入っていた」 そう言って、飛鳥は手にしていた携帯を見せた。 「準備は整ったな」 林がそう言うと、倉庫の中の柄の悪い男たちは一斉に頷いた。 それを見た飛鳥は、西山の携帯を開いて電話をかけた。 「……よぉ。先日はゲーセンの便所で世話になったな。アンタの大切な“トモダチ”、ここで震えてるんだけど、どうする?」 [*prev][next#] [戻る] |