同じ過ち 4
そのレストランでランチを注文出来るのは11時から14時までで、芹沢のバイト時間は15時までの4時間らしい。
その後は17時から21時まで宅配便の仕分け業務、22時から午前2時までコンビニでバイトである。
「身体の方はもちそうか?」
夏休みが始まって数日後、芹沢にそう尋ねると、
「余裕。むしろ、いつもより遅くまで眠れるから授業ある時より元気だな」
と笑った。鉄人だ。
夏休みのプリントは、レストランから戻って宅配センターに向かう前のわずかな隙間時間に集中してさせた。
芹沢は嫌がっていたが、「俺のは絶対に写させない。ちゃんと教えてやるから頑張れ」と言うと、渋々机に向かうのだった。
レストランの定休日は水曜日。その日はサッカーの練習の予定が入っている。
小山内と芹沢が俺に断りも入れずに決めたものだが、俺のための練習であるため、嫌とも言えない。
……そういえば。
サッカーの練習に学校の指定ジャージを着ていったら、芹沢と小山内に嫌がられるだろうか。
運動などする機会がないため、その手の服など一切持っていない。
母に相談すると、近所のスーパーで火曜に売り尽くしセールがあるそうで、トレーニングウェアを新調してもらえることになった。
出掛けるにあたり、母の持ってきた服を大人しく着る。
フリルのあしらわれたタンクトップ、かぎ針レースのボレロ、一見ロングスカートに見える麻素材のふんわりしたフレアパンツ。そして、頭には麦わら帽子、足下は姉貴のサンダル。
母好みの格好というか、メルヘン少女趣味炸裂というか……。
俺のお願いを聞いてもらう時は、いつもこんな状態に陥るのである。困ったものである。まぁ、基本的にはどんな服でも俺は気にしないわけだが。
眼鏡も取り上げられたので、もしクラスメイトと一瞬すれ違ってもバレないだろう。
しかし、スーパーの開店と同時に駆け込んでお目当てのウェアを安値で購入できたところまでは良かったが、芹沢のバイトするイタリアンレストランにそのままの格好で連れて行かれたのはさすがに参った。
案の定、芹沢に大爆笑された。
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