同じ趣味 7 洗面所から出てきたところで、買い物に出ていた母がちょうど帰宅した。 「ただいまぁ。タカちゃん、戻ってたのね。……あらっ、こちらはどなた?!」 「クラスメイトの芹沢君。うちの漫画を読みに来た」 「あらあらあら! まぁまぁまぁ! いらっしゃいませ、タカちゃんの母です! 知らなかったわぁ、タカちゃんにこんなカッコイイお友達がいたなんて」 「ど、どもッス……」 芹沢はうちの母の迫力に押されまくっていた。 「あとでタカちゃんの部屋にお飲物とお菓子持っていくわね」 「気にしなくていい」 「そんなわけにはいかないわっ。芹沢君、甘い物は大丈夫?」 「あ、ハイ……」 「今日はシュークリーム買ってきたの。後で紅茶と一緒に持っていくわね。多めに買ってきて良かったわぁ」 母はウキウキと弾みながら台所へと引っ込んでいった。 「……テンション高けぇ」 「俺が家に人を招いたのは初めてなので、浮き足だっているのだと推測する」 「ギャハハ、マジかよ。お前どんだけ友達いねーんだ」 「これまであまり必要性を感じなかったのでな」 「必要性! まー、俺も滅多に家に人なんか呼ばねーけどな。中学ン時は暇さえありゃ喧嘩ばっかしてたしよ」 「最近は喧嘩してないのか」 「ちゃんと毎日ガッコ行ってんだろが」 「確かに」 芹沢は不良ではあったが、出席率はやたら良かった。 しょっちゅう居眠りしているので成績は悪かったが。 [*prev][next#] [戻る] |