page04
東京っ子、しかも持病の喘息で一年遅れの転校生に声を掛け、温かく接してくれたのは笑美だった。
笑美、笑美。いつも柔らかく笑ってた笑美。
繊細な女性らしさ、小さな思い遣り。その陽だまりのような笑顔に触れると、何故か、どんな時も落ち着いていられた。
大学でも、職場でも、彼女以上の友人は現れなかった。落ち込む事がある度、彼女に電話した。
死んだ……。
信じられなかった。
頭が呆けたように何も感じられない。
死んだ……。
笑美が死んだ……。
現実の事ではないような気がする。
ガタンゴトン、ガタンゴトン……。
列車は大井川を渡って行く。
一ヶ月ぶりに富士を観た。
〜つづく〜
+back+
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!