[携帯モード] [URL送信]
page14


+back+ +next+
+chapter top+ +text top+
+novel+ +home+


 本当は怖がりで誰よりも繊細なはずだ。さくらはよく知っていた。思春期からの性格がそんなに変わってるはずはない。

 支え合う事で心を強く保つすべを、いつの間に自分達は身に付けたのだろうか。



 「サラダだけでも残さず喰えよ」

 三百五十円と付いたシールの表示分だけ、賑やかに盛られたプラスチック容器を邦瀬が押しやる。


 「何よ、あんたが変な事言うからでしょ」

 さくらはフォークを振り回して抗議した。


 「別に変な事じゃねーだろ。さくらは誰にも殺させねっつってんの」


 「あーもう! やめてよ。そんな事言ったって、あんたの家族サービスには付き合ってやんないんだからねっ」


 「え、俺んち一緒に寄るんじゃねえの?」

 邦瀬の顔に不安がよぎった。


 「……じゃあ大輔と合流して新井家行っとくか?」


 薄々察しが付く。邦瀬はきっと、短時間でも彼女を独りにするのを怖れているのだ。

 実際、通夜の晩はそのまま大輔の実家で、柩に寄り添って朝を迎えていたし、今回帰省してからまだ一度も、さくらは独りきりで過ごしてはいなかった。

 


+chapter top+ +text top+
+novel+ +home+


+back+ +next+

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!