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 「……合鍵はともかく、俺達に恨みを持ってる奴には違いないさ」

 と、邦瀬。

 「俺達を狙う理由は、そりゃひとつしか考えられないけど。俺も知り合いの中に犯人がいると思う……」

 二人を見つめながら、ゆっくりと言葉を続けた。

 「誰も知らないはずのあのボックスの中身を、どうしてそいつが盗み得たのかは知らないよ? ただ、笑美は乱闘した形跡もなく殺されてた。つまり、そいつが現れても笑美は警戒しなかった、って事だ」



 やはり此処は腹をくくって身内を疑うしかない、という事か。


 「そっか……じゃあ、まず笑美の通話先を探るってのは正しいね。でも笑美が警戒しない人間って、携帯に記録残ってる相手だけじゃ足りないんじゃない?」

 「親戚とかご近所さんとか、中高の同級生とか。大輔の大学時代の友達や草野球チームのメンバーだって、芹沢モータースのご贔屓客だって、きっと訪ねてくれば、笑美は警戒しないで家に上げるでしょう?」


 ちょっと考えただけでも目眩がするほどの人数だった。警察と違って、さくら達は捜査のプロじゃない。容疑者の絞り方も知らなければ、聞き込みのスキルも持たない。何十人もの捜査員がいるわけでもない。

 


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