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「妹なら、何か変わった点に気付いてるかもしれないし。手掛かりが見付かるかもしれないだろ? それが駄目なら、携帯の通話先を順に当たる。警察には頼れないからな。俺達だけでやるしかないんだ」
さくらがキレたお陰で逆に冷静になれたようだ。
「いいか、あの日俺が帰った時、アパートの鍵は閉まってた。笑美が自分で閉めたんでなけりゃ、あいつを殺した野郎が合鍵使った可能性高いだろ? 俺達が気付いてないだけで、きっと犯人は身近にいるんだ」
さくらは滲んだ涙を指で拭い、毅然とした顔で大輔を見据えた。
「……ピッキングでも痕を遺さず施錠して行くのは可能でしょう? それなりの腕があれば」
「まあ……多分な、だけど」
「仮に犯人が合鍵を用意してたとしてよ、それが笑美の鍵からコピーされたものとは限らないじゃない」
言葉をさえぎって続ける。
「技術さえあれば、事前にドアの外から形取りして、合鍵を作っておく事だって出来たはずだわ。知り合いの犯行だとは言い切れないと思う」
身近にいる誰かが犯人で、陰でこっそり笑ってる、だなんて……考えたくもなかった。
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