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01.MIDNIGHT BLUE


 プルル……プルルルル。

 2008年五月初め、まだ若干肌寒さの残る、ある深夜。さくらは枕元に置いてある携帯の着信音に起こされた。


 「はい……」

 無意識に電話へ出ながら、さくらの身体は急激に覚醒へと向かう。心臓が不安に大きく脈打った。深夜の電話など、不吉な事この上ない。


 「……さくら」

 暗闇の向こうで、掠れた小さな声が響く。


 「大輔、大輔なの?」

 ほんのひと月前逢って来たばかりの、田舎の旧友だ。


 「さくら……ごめん。こんな時間に起こして」


 「やだ、どうしたのよ。何かあったの? 笑美は? 若菜は?」


 大輔と笑美は二年前結婚し、昨年は子宝にも恵まれた。先日、恒例の里帰りをした際、六ヶ月になった娘、若菜にも対面して来たのだ。



 「……さくら」


 「笑美が……笑美が、死んだんだ。俺、もう、どうしたらいいか」



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