[携帯モード] [URL送信]
page01


+next+
+chapter top+ +text top+
+novel+ +home+



01.呪いの森


 さくらは走っていた。闇の中を。

 体中にねっとりとした密度の濃い空気が纏わりつく。水中でもがいているような抵抗感がもどかしい。


 幾重にも行く手を遮る蜘蛛の巣だらけの枝葉を払いながら、さくらは走り続けた。突き出た小枝が、野生の茨が、腕を、胸を、顔を刺す。


 木の根に躓いて何度も転んだ。







 ズズッ……ズズッ。ズズッ……ズズッ。







 背後から音が聞こえる。重い物を引き摺ってくるような音が……。転ぶ度に、アレとの距離が縮むようだ。





 早く逃げなければ。







 ズズッ……ズズッ。ズズッ……ズズッ。







 アレがだんだん近付いてくる。もの凄いスピードで。





 逃げなければ!





 ズズッズズッ……ズズッズズッ。





 暗闇なのに、判る。振り返らなくても、見える。頭から血を流し、這ってくるソイツが。





 ズズッズズッ。ズズッズズッ。







 脚がもつれた。















 「ひっ」

 


+chapter top+ +text top+
+novel+ +home+


+next+

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!