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種な文章

もう今のデスティニーは可哀想なことに何もかもがピンク色。

頭もボディも足も・・・・・もう全て。

「誰かのイタズラか・・・・それにしては、綺麗にペイントされてるなぁ。」

ディアッカが見事にピンク色な俺のデスティニーの足を触りながら、半ば感心した口調でそう言った。

自分と関係ないからってちょっとそれはないと思う・・・・・。

はぁ・・・・これでアーケードとか行きたくないなぁ。

いや、そうじゃなくて! 犯人だ、まず犯人を捜さないと。

捜して、元の色に戻させてやる!

「ディアッカ、犯人捜そう!」

「えー、俺もかよ。まぁ・・・俺も被害に遭わないとは限らないし。手伝ってもいいか。」

さっきの『えー』の時のディアッカの顔・・・本気で殴ってやろうかって思ったけど、手伝ってくれるって言ったんでここは我慢する。

「・・・・なんとなく、犯人の想像がつかなくもないけどな。」

ディアッカが溜息混じりにそう呟いた時・・・・・なんとなく嫌な予感がした。

特に理由もないけど・・・・・ただ、なんとなく。

まぁ、そんな理由もない嫌な予感なんて放っておいて・・・・まずはどこから捜そうか。

・・・なんて思っていると、後ろから声がした。

「あら、綺麗なピンク色ですわ。」

なんだと、俺はこのピンク色に困り果ててるって言うのに・・・・人の気も知らないで好き勝手なことを・・・・・。

のんびりした口調ちょっとイラつきを覚えながら、俺は軽く睨み付けるように後ろを振り返る。

すると、見事なピンクの髪にピンクのパイロットスーツの女の人が。

と言うか、ラクスとかいう人がいた。

それでもって、その横にはキラとかいう(頭が)危ない人も。

「さぁ、これでデストロイでも狩りに行きますわよ。」

「いきなり飛ばすね、ラクス。じゃあ、僕はあっちのストフリ取ってくるね。」

って、いかにも自分のですって感じの会話を交わしてるけど・・・・・・。

ちょ、ちょっと待てよ・・・・!

「これは俺のデスティニーだろ。なんで、俺の許可とらないで、勝手に乗ろうとしてんだよ!」

思わず怒鳴ったんで、あ、ちょっと言い過ぎたかも・・・・・って思った矢先、とんでもない言葉が返ってきた。

もう核ミサイル並みに破壊力バツグンな言葉。

「あら、このデスティニーは私のですわ。だって、私のパーソナルカラーで塗られていますもの。」

―――犯人はこいつかーっ!

このセリフに横にいたディアッカが苦笑いをしている。

多分・・・犯人が想像通りだったんだろう。

「それに・・・貴方にこれは似合いませんわ。」

そらそうだ、ピンクの機体なんて似合ってたまるか。

アスランならともかく・・・・俺にピンクはちょっと・・・・・・・。

「・・・・・じゃなくて、なんで俺のものを勝手に自分のものにしてんだよ!」

「だってピンク色ですもの。私のパーソナルカラーのピンクにすれば、それは全て私のものになるのですわ。」

間髪入れずに返事が返ってきた・・・・・・これはジャイ○ンも敵わない理屈だ。

もうこれは核ミサイルだって敵わない破壊力・・・・。

ディアッカも疲れてきたのか、それともこのむちゃくちゃな理屈に頭が痛いのか・・・・・眉間に皴を寄せて頭を抱えている。

「やっぱりピンクはいいですわね。」

「ラクスはピンクが一番似合ってて可愛いよ。」

「まぁ、キラったら。ありがとう。」

「あはは・・・。」

そして、それを無視して、諸悪の根源は甘そうな雰囲気で会話をしているし・・・・・。

もう俺は諦めモードに足を突っ込みかけながらも、諸悪の根源に言ってみた。

「・・・・ピンクの機体なら他にもあるだろ。なんでそれを自分の機体にしないんだよ。最初からアンタのパーソナルカラーだし、その理屈でいったら最初からアンタの機体ってことじゃん。」

「ジャスティスとか、セイバーとか、イージスとか、LIVEザクとかピンクだし・・・それでもいいんじゃないのか?」

俺の言葉にディアッカも便乗してくれて、具体的な機体名を挙げる。

これでこの諸悪の根源の気持ちが向こうの方に行ってくれることを俺は切に願う。

と、いうか・・・・・アスラン、ピンク多っ!

でも、この俺の切実な願いは見事に打ち砕かれることになった。

「ジャスティスもセイバーもイージスもデザインが趣味じゃありませんわ。そんなものアスランにくれてやりますわ。」

『くれてやる』・・・・ときたか、アスランの機体全否定されてるな・・・・・・。

ん、待てよ・・・・じゃあ、LIVEザクはいいのか?

「LIVEザクは?」

ディアッカも同じことを思ったのか、俺が聞きたかったことをそのまま口にする。

このままLIVEザクで収まってくれればいいのに・・・・・・。

「デザインはいいのですけど・・・・。兵器としてはダメダメですわ。その点、デスティニーはバランスがよくて素晴らしいですわ。」

当然だろ、俺のデスティニーなんだから。

でも、こう『素晴らしい』とまで言われるとちょっと・・・いや、かなり嬉しいかもしれない。

というか・・・・この人は平和の為に戦ってたんじゃなかったっけ・・・・?

兵器とか普通に言ってるけど・・・・俺の聞き間違い?

「・・・そんなわけですので、私はこれが欲しいのですわ♪」

ムチャクチャだ・・・・というか、『そんなわけで』ってどんなわけだよ。

もう、どう足掻いても取り返せない気がしてきた。

・・・・・・・・・・・・元々は俺の機体なのに・・・・。

完全に気が滅入ってきた俺の気持ちを知らずか、それとも知っていてわざと言っているのか・・・諸悪の根源はにっこりと笑ってピンクに塗りたくられたデスティニーを指してこう言った。

「それで、今からピンクちゃんデスティニーの輝かしい初戦にデストロイを狩りに行きますのよ。」

なんか変な命名されてる――!

「へぇ、そいつは輝かしい・・・・。」

ディアッカが軽く死んだ目になりながら、ぺちぺちとやる気のない拍手をしながら、そう言う。

で、その横にはディアッカとか真逆に笑顔で拍手を送るキラとかいう(頭が)危ない人。

「ラクスったら、カッコイイー♪」

あー・・・うん、確かにカッコイイよな。

倒すのがスゲェ面倒なデストロイを狩りに行くとか・・・・・。

けど、それは俺の・・・・俺の・・・・・・・。

「・・・・シン、諦めろ。」

ぽんっと諭すようにディアッカが俺の肩に手を置く。

「俺のバスターとかでよかったら、いつでも貸してやるからさ。」

ディアッカの優しい言葉に俺は全てを諦め、ピンク色に蹂躙されて違う意味で生まれ変わったデスティニーに心の中でそっと別れを告げた。
 

さようなら・・・・・もうお前には一生乗らない。

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あきゅろす。
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