その他の文章
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最近は事件らしい事件もなく、事務所にくる依頼と言えば浮気調査ぐらいと言ったデビルサマナーの出番がほぼ皆無な日々。
当然その補佐をしている俺の出番もない。猫なのは見た目だけだが、猫らしく日なたで昼寝をする日々だ。
事件がなければ戦闘なんて行う必要もないので、ライドウ・・・もとい忍も書生として学業に専念している。
その間、十四代目の葛葉ライドウ・・・本名、綾辻忍に従う悪魔達はずっと管に閉じ込められているのではなく、
忍の『人に迷惑をかけないこと』という悪魔を使役する者としては甘い甘い言い付けを守って大人しく・・・。
毎日探偵事務所で会議と称したお茶会を開いていた。
各々、好きなお菓子を持ち寄り、鳴海の出涸らしを再利用しながら『どうしたらライドウ、もとい忍に褒めてもらえるか』という議題で毎日話しあっている。
ちなみに、毎回話がどこかへ反れていく為、ちゃんとした結果が出たことは一度もない。毎日この話題だ。
「あれ? イッポンダタラちゃんは今日もおらんの?」
会議の進行役は仲魔の中で一番レベルの高いスカアハ。
見た目は美人なのだが、中身がおばちゃんで、そこが妙にみんなに好かれている奴だ。
「なんか育ててる花が咲きそうなんだって。最近ずーっとそっちばっかり。」
愛らしい少女に羽が生えたような姿のモー・ショボーが口を尖らせて不快感を表すように羽ばたく。
ふむ・・・イッポンタダラはいないのか。まぁ、ここにはいなくとも忍の言い付けを破るような奴ではない。
特に心配することもないだろう。俺はそれよりあいつの意味のわからん日本語が気になる。
「花は美味しくないホ。あげてもライドウは喜ばないホー。」
喜ぶ物=食べ物という非常に短絡的で悪魔らしいことを言うのが、白くて小さな身体に青い帽子を被ったジャックフロストだ。
お前は花を食ったことがあるのか、というツッコミはあえて入れないでおく。
「やっぱり戦闘で役に立つでありんす。そしたらライ様も誉めてくれるでありんす。」
「オシチちゃん、その戦闘が最近ないから、こないして話してるんやで。」
スカアハにたしめられているのが、オシチという頭は女だが身体は鳥の悪魔だ。
「どうしたら、ライドウ誉めてくれるのかなー・・・。」
モー・ショボーの台詞に議題がまた振り出しに戻る。
毎日これで振り出しに戻って延々と同じことが繰り返されるか、誰かが他の話題を振ってどんどん話が脱線していくかでこいつらの会議は終わる。
・・・悪魔の思考というものは、所詮この程度なのだろうか。
「はは、ライドウちゃん。愛されてるねぇ。」
この探偵社で一番偉い(でも威厳は皆無と言ってもいい)鳴海が微笑ましそうに茶をすする。
甘さ故か、忍の人柄故か、忍は随分と悪魔達に好かれている。
まぁ、使役する悪魔に嫌われているよりかはずっといいか・・・。
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