[携帯モード] [URL送信]

その他の文章

「・・・お前の部屋も一緒なんだな。」
 
「キョン君のお部屋も同じ作りなんですか。」
 
古泉の言葉に俺は生返事をしながら、自分の部屋で出来なかった行動に移す。
 
俺が部屋でやり損ねたこと・・・・それは修学旅行とかで必ず誰かがやる行為。
 
無駄にクローゼットを開けてみたり、備え付けの冷蔵庫の中身を確認してみたり、置いてあるお茶菓子の味見をしてみたり・・・・。
 
忙しなく、そして子供じみた俺の行動に古泉は含み笑いをするばかりだった。
 
「キョン君も意外に子供っぽいところがあるんですね。」
 
「・・・悪いか?」
 
俺は最低限の返事をして、さっき味見の為にかじった饅頭の残りを全部口に放り込む。
 
この饅頭は意外にいけるな・・・・妹が土産土産と要求してたし、ホテルで売ってたらこれを買おう。
 
ご当地キ○ィとかを要求されていた気がするが、あんなもんレジに持っていく勇気は俺にはない。
 
「いえ、別に・・・ところで、そのお饅頭はこし餡ですか?」
 
「いや、白餡だ。」
 
俺の答えに古泉の顔は少し困ったような笑顔に変わった。
 
こいつは白餡の何が悪いと言うんだ。
 
「白餡は・・・少し苦手なんですよ。」
 
苦手なら食わなきゃいいだろう、そう言い返そうと口を動かす前に何やら暖かいものが唇に触れ、目の前が急に暗くなった。
 
リアルだが理解のしきれない感覚に俺の思考は、まるでスイッチを切ったかのように止まってしまう。
 
「やはり、少し苦手な甘さです。」
 
やけに近い古泉の笑顔・・・・・俺は一体何をされたんだ・・・・・・はっ、そうか!
 
「お、お前っ・・・・い、いきなり、にゃにを・・・・!」
 
あー、噛んだ! よりによって『にゃにを』とか・・・・は、恥ずかしい・・・・・!
 
最早何から突っ込んでいいのか、何から片付けたらいいのか、RPGなら確実に自分に攻撃しまくっているであろう見事な混乱状態に陥ってしまった。
 
と、とにかくだ・・・・今、俺がすべきこと・・・今、俺がすべきこと・・・・・・・。
 
「逃がしません。」
 
俺は無意識のうちに逃げ出そうとしたらしい。
 
古泉に背を向けようとしたところをがっしりと捕まえられてしまった。
 
「まだ自由時間は2時間程あります。色んなことが出来ますね。」
 
「い、いた・・・・・!」
 
古泉は俺の手首から腕全体を器用に捻り上げ、俺は逃げるどころか抵抗すら出来なくなってしまう。
 
こいつはこの自由時間で何をするって言うんだよ・・・!
 
「大丈夫です、痛くはしません・・・・・。」
 
空いた古泉の手が器用にシャツのボタンを外してゆく。誰のシャツかって・・・・俺のシャツだよ。
 
これは明らかにマズイ・・・・なんでこんなことに・・・・・・・・。
 
逃げ出したくて、夢にしたくて、信じたくなくてたまらない現実に俺は少しでも離れようとぎゅっと目を瞑った。
 
「抵抗してくれないんですね・・・・。ありがとうございます。」
 
腕を捻り上げてるんだから近くにいて当然の古泉の声が何故だか遠くに感じる。
 
最後の方はノイズまで混じり出して、何を言ってるんだかわかりゃしない。
 
何故だか意識までも遠のいてゆく・・・・・あれ、な・・・んで・・・・・・・。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!