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旅のしおりを手に探し当てた部屋は思ってたよりずっと広い部屋だった。
 
扉を開け中に入ると、まず右に見えるはクローゼット、左に見えるは洗面所。
 
まぁ、おそらくユニットバスだろう・・・中の確認は後でいいか。
 
で、肝心の部屋の中心部・・・ベッドやら置いてるところはー・・・・・・・・・・・。
 
「・・・・・広いな。」
 
思わず声に出してしまっていた。それくらい俺にが広く思えた。
 
いや、俺が小市民なだけかもしれないが。
 
ベッドが4つも置いてある・・・4人部屋なら畳に布団を敷いて雑魚寝ってのが普通だと思ってたんだが・・・。
 
思ったよりやるな、うちの高校は。
 
・・・しかし、他の奴ら遅いな・・・・荷物すら置いてないぞ。迷ってるのか?
 
仕方ないな・・・少し探して来るか。
 
俺はその場に荷物をぽん、と置くと周りの確認もせずに部屋を出た。
 
この行動は非常に浅はかで愚かだった・・・・少し考えればわかることだと言うのに・・・・・。
 
ばたん・・・・・がちゃり。
 
「しまった・・・・!」
 
背後でする不安を煽る音に俺は慌てて振り返り、ドアノブを回そうとするが時すでに遅し。
 
微かにがちゃがちゃと左右に数ミリ程度なら動いてはくれるが、それ以上は動いてくれない。
 
ホテルでオートロックは基本だということをすっかり忘れてた・・・・・くそ、フロントか先生に言うしかないか・・・・・。
 
「はぁ・・・・。」
 
最早溜め息しか出ない、今日の俺は抜けまくっている・・・・・。
 
「折角の修学旅行なのに、溜め息ですか?」
 
凹み、うな垂れる俺の耳になんだが非常聞き覚えのある声が。無言で顔を上げると非常に見知った顔が目に入る。
 
古泉かよ・・・・正直今ここで会いたい奴じゃない・・・・・。
 
「なんでもない。ほっといてくれ。」
 
「鍵、中に閉じ込めちゃったんですか?」
 
・・・・・・・何故わかった。これも超能力か・・・・・。
 
ノーヒントだというのに見事に正解を当てられた俺は黙りこくるしかなかった。
 
けれども、沈黙は肯定。今の俺の態度は『正解だ』と言ってるようなもんじゃないか。
 
「フロントに行きますか?」
 
「部屋について早々なのに、そんな真似したくない。夕食後とかでも充分間に合う。」
 
風呂は部屋についているから、いつでも入れるはずだ。
 
いつも以上に無愛想にしたはずだった。いや、いつも俺はこいつに対しては無愛想だけども。
 
とにかく、俺は『これ以上関わるな』オーラを出していたはずだ。
 
けれども、こいつには効かないようだ。まぁ、谷口にも効かなかった気もするが。
 
「夕食まで結構時間ありますよ? それまではどうするつもりなんですか?」
 
考えてなかった・・・・誰かクラスメイトの部屋に行こうと今更考えてみるが、連絡をとる手段の携帯電話は荷物と一緒の部屋の中だということを思い出した。
 
一時の暇を潰すために一部屋一部屋当たっていくのも非常に労力を使うし、バカらしくてならない。
 
と、なると・・・・俺の選択肢は・・・・・・・・。
 
「なぁ、お前の部屋・・・行っていいか?」
 
「ええ、喜んでお迎えしますよ。」
 
俺は好青年という言葉がよく似合いそうな笑顔と共に暇を潰す方法しかないってわけだ。

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あきゅろす。
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