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九龍受な文章
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「……っ!」

今度は銃弾ではなく、矢がいきなり俺を襲う。

突然の攻撃に俺はとっさに回避行動が出来ずにいたが、どうやら威嚇だったのか、矢は虚しく壁に突き刺さるだけだ。

「黙って聞いていれば……。そこまでして、僕と龍さんを引き裂きたいですか。」

神鳳は冷たい口調で俺を見据えながら、次の矢を弓に番える。

引き裂くも何も、神鳳と九龍はそんな関係でもないだろうが。

九龍の親友の位置を獲得しているのは、俺のはずだ。それ以上の関係なんていてたまるか。

「調子に乗ったことを……さっさと消していれば、よかったな。」

そう忌々しそうに呟いた喪部がライフルを向ける先は神鳳。

『僕と龍さんを〜』のくだりが気に入らなかったのだろう。まぁ、俺も気に入らなかったが。

……しかし、面倒な状態になったもんだ。

喪部は神鳳に狙いを定め、神鳳は俺に狙いを定め構える。

じゃあ、俺は喪部を攻撃対象にすればいいのか?

そしたら、お互い睨み合って完全に動けなくなるな。見事な三竦みだ。

とりあえず、蛇がお似合いなのは神鳳か喪部だな。

「なんで、けんかになってるのー……。」

3人が睨み合っているのを九龍はわかってないのか、困ったように眉を下げて俺達の顔を順々に見る。

「喧嘩はすぐに終わりますよ。君が誰の味方になるか、それで決着がつきます。」

矢は俺に向けたまま、目線だけを九龍に向け神鳳は優しげな口調で説明した。

確かにそうだな。まぁ、端的に言えば九龍を取り合って、こんな状態になってるわけだしな。

九龍が誰かを選べば、この喧嘩というか取り合いは片付く。

取り合いが片付いても、俺と戦闘しなきゃいけないんだけどな。

で、俺を選んだ場合は俺と九龍が1対1で……って、俺不利じゃないか。

「まぁ、結果は見えてるけどね。なぁ、九龍?」

「何を仰っているのやら。龍さんは僕を信頼して、僕を連れてきたのですよ。ね、龍さん?」

「九龍、俺とお前は親友だろ?」

2人が自信満々に好き勝手を言う中、俺もなんとか頑張ってみるが……正直自信がない。

各々に期待を込めた目で見つめられている九龍は、『チョコとケーキのどっちを食べようか』みたいなシリアスさに欠けた顔で唸っていた。


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