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九龍受な文章

TV的にはゴールデンタイムと言われる午後8時、そう今の時間。

チャンネルを回せば、万人向けとされるくだらない視聴率を集める為だけの意味があるのか、ないのかよくわからない番組がやっている。

僕は呆れて観る気も起きないが、横にいるこいつはすっかりTVに釘付け状態だ。

子犬や子猫の映像を人間が適当にアテレコをつけながら流している番組にこいつはさっきから何が楽しいのか、上機嫌にぬいぐるみを抱えて観ている。

「いいなー、にゃんこ。いいなー。」

画面いっぱいに子猫がよちよちと歩くシーンを、こいつは食い入るように見つめている。

まぁ、このまま大人しくしてくれたら、僕はゆっくり報告書でも書けるからいいか。

そう思い、僕はノートパソコンと睨めっこをしながら、カタカタとキーボードをたたき始めた。



文書を打つことに集中し、他のことに気が回らなく始めた頃、CMになり暇になったのか、こいつが急に話し掛けてきた。

「ねー、銛矢。にゃんこかわいかったねー。」

うるさいな、僕は今仕事中なんだ。見ればわかるだろうが。

無視してカタカタとキーボードを打ち続ける僕に、こいつは聞こえなかったと思ったのか、先ほどと同じ台詞を言った。

「銛矢ー、にゃんこかわいかったねー。」

「うるさいな。僕は仕事中なんだ。くだらないことで話しかけないでくれ。」

集中しているところに水を差されたので、少しきつい口調になってしまった僕にこいつは酷く傷ついたみたいだ。

「・・・ごめん、なさい・・・・・。」

震えた声の謝罪の直後に、ぐすんと鼻をすする音。

見なくてもわかる。泣かしてしまった。

こんなときに限って、こいつはもう・・・。

「泣くなよ、こんなことで。僕は猫なんかより、君の方が可愛いって思ってるんだ。」

「え・・・?」

照れくさいから早口で言ってるのに、こいつはきょとんとした顔で僕を見つめる。

くそ、僕はこんなこというキャラなんかじゃないのに。

「き、君のことがずっと可愛いから、猫が可愛いかどうかなんて、僕にとってはくだらないんだ。わかるかい?」

こんなこと口に出して言うなんて、僕も随分甘くなったとしか言いようがない。

恥ずかしくて耐え切れなくなった僕が目をそらそうとすると、こいつは急に持っていたぬいぐるみを放って抱きついてきた。

「なんだ、急に・・・。」

「銛矢すきすきー♪」

こいつはぎゅっと抱きついて離れようとはしない。

直接的な好意の表現に僕は悔しいことに嬉しく思えてしょうがない。

「仕事が出来ないだろ。」

「でも、はなれるの、いやなのー。」

やれやれ・・・。僕は諦めて書きかけの文書を上書き保存すると、ノートパソコンの電源を落とした。

子猫が甘えてくるよりこいつは甘えてくる方がよっぽどタチが悪い、と本気で思ってる僕は相当頭がやられてるに違いない。




おわり




コメント
喪部に『君の方が可愛い』って台詞が言わせたかっただけさ。(マテ
いつか喪主でもエ□書きたいですね。
でも、ただのラブ姦になりそうで面白くなさそうだ。
ま、オカンだからしょーがない。


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